現役テレビ局員の映画・ドラマ研究記

在京キー局で暗躍するテレビマンが送る、読んだら誰かにこそっと話したくなる映画・ドラマの徹底考察! ※本サイトの見解は全て筆者個人のものであり、特定の会社を利するものではありません。

獣になれない私たち 第七話を執拗に考察する

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相模湾と若狭湾。起きた出来事はまったく逆でも、一歩踏み出した女性にとっては「獣になる」ための大きな一歩なのは同じ。

そんな素晴らしい演出を見せてくれた第七話は、もやもやが停滞していた第六話とは打って変わって物語上大きな動きがありました。

晶が京谷についに別れを告げたこともそうですが、それではなくもっと大きなもの。

ついに最終回への道筋が見えたことです。

そのゴールは、晶のセリフをもらうと「日常を壊す爆弾を作る」こと。

 

主役級である晶と恒星の行動ベースで言うと、

晶:アパートの更新問題にケリをつけること

恒星:粉飾決算から端を発する兄弟の問題を終わらせること

これは二人をいつまでも過去に縛り付けている大きな鎖であると同時に、

「獣になること」を禁止する首輪でもあります。

その首輪を外すことを「爆弾を作る」と表現したところに期待感が高まりますよね。

小さな堂々巡りを少しずつ断ち切っていった末の、最も大きな根本原因をどう終わらせるのか、小さな手がかりから想像を広げて考えていきます。


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あらすじ

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呉羽に関する衝撃の事実を知った二人は、場を変えて飲み直していた。

呉羽が病気を患ったことを話してくれなかった理由を、本音で喋っていなかったからではと言う晶に、京谷に対しても同じではないかと恒星は返す。

 

次の日、晶の家の前には、盗んだ宅配便を返しにきていた朱里が寝ていた。帰る宛のない彼女を晶は家に泊める。

週末、樫村地所との打ち合わせで再会した晶と京谷。別れ際に千春と連絡が取れないことを晶が伝えると、京谷の父親が危険な状態なのだという。

その夜、朱里が5tapを訪れる。恒星に弱みを突かれ続けた朱里は怒り、彼にビールをぶちまける。晶はそんな朱里を迎えに行き、家で話を聞く。今は正反対の立場にある二人だが、京谷が求める女性像に翻弄されて生きてきたことは同じだった。

土曜日、千春の様子がおかしいことに気がついた晶は、京谷の実家でもある相模湾が見える彼女の家へ行く。

京谷とその兄が父親の克己を病院へ移送しようとするのを、晶は千春に代わって反対する。兄弟は千春の気持ちを考えてあげていないと晶は説得する。

相模湾を前にして話をする晶と京谷。そして晶はようやく彼に別れを告げる。

その夜、晴れやかな表情をして5tapでビールを飲む晶。訪れた恒星に、粉飾の書類を提出するのはいつなのかと聞く。それは11月末。晶のアパートの更新日と同じだ。

 

第七話登場クラフトビールとその元ネタ

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今週もビールは登場してきていたのですが、名前を挙げての紹介は無し。

ゆっくりビールをたしなむような展開でもなかったですからね。

 

これ、橘カイジでは?

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くすぶり続け、焦らされ続け、今週はついに「おでんの大根」呼ばわりされていた橘カイジ。今週も登場はなく、これは「桐島、部活やめるってよ」的な、元を正せば「ゴドーを待ちながら」的な展開にさえなるのではと予感させています。

(「ゴドーを待ちながら」的展開:様々な人々がゴドーに翻弄されながら物語が進行していくも、ゴドー本人は最後まで登場せずに物語が終わる展開)

ただ脚本の野木さんは前作の「アンナチュラル」で中堂さんと「赤い金魚」絡みの話を割と序盤から振っておきながら、最終回とその前の回まで明かさないという絶妙な放置加減で私たちをワクワクさせ続けた「焦らしの達人」的なところがあります。

なのでさすがに最後の方で大きな役割を果たすのではないかと思うのですが、やはり気になるのがこの二人。

見出し画像の奥の人、橘カイジでは??

先々週くらいから店に入っていく姿が目撃されている和服の割と歳のいった男とその友人(お付き?)と思われる男性。

見るからに金持ちっぽいですし、社長だとしてもおかしくはない。

そして呉羽から5tapの話を聞いていたとしたら、興味を持って店にきていたとしてもありえない話ではない。

そして何より、

奥のメガネ男性が小島秀夫さんに激似!!!

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「メタルギア」シリーズや「僕らの太陽」シリーズを作り上げた伝説のゲームクリエイター、小島秀夫監督。

その要望にめちゃめちゃ似ています。

橘カイジもゲームクリエイターですし、意外と小島監督をモデルにしてキャラクターを作っているなんて可能性も、、

(本物の小島監督も、一昨年くらいにKONAMIを退社して独立して会社を立ち上げています)

 

あの二人組が橘カイジ絡みの人ではないにしても、エキストラにしてはあまりにもアクの強すぎる人物たち。一体何者なのでしょう。

 

11月末に作る「日常を破壊する爆弾」とは?

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長谷川和彦監督の「太陽を盗んだ男」に絡めて語られた、「日常を破壊する爆弾」。

お互いの節目となる11月末を目標にして「いつ作るんですか?」とやけに強く晶がけしかけていました。(太陽を盗んだ男に関しては、第七話速報レビュー参照)

 

また、けもなれ時間進行の法則(月曜から話が始まり、金曜の夜や週末を中心に話が進み、一話ごとに実時間の一週間ずつ進んで終わる)にこれからも沿っていくのであれば、最終回にあたる第十一話の日付は、

11月26日から始まり、11月2日から3日にかけて終わる

ことになります。

 

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第七話の印象的なラストシーンがこちら。

カレンダーをめくってから仕事に向かう晶。

けもなれの法則で言うなら、ドラマの終わりのシーンになりますのでこれは月曜日。

そして新しい月に変わったということですからこの日は11月5日。

来週、第八話が11月の第二週。

第九話が11月第三週、第十話が第四週で、11月25日に終わると思われます。

となると最終回は11月26日スタートで11月30日の金曜日に「爆弾を仕掛け」、大団円で土日を描く、という展開になるのではないでしょうか。

ではこの「爆弾」は一体なんなのか?少し予想してみます。

 

恒星:兄絡みの過去の因縁に決着が着く

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これは次回予告にもなっていました。

これまで何度か話には出てきたものの、未だに恒星の中で根を張り続ける「粉飾決算」問題。発覚すれば即仕事ができなくなる危うさもあり、簡単には抜け出せないようです。

その書類を提出しているのが、毎年11月末。

会計資料を作る関係上兄とは何らかの形でコンタクトを取らなければなりませんから、嫌でも過去の軋轢を思い出すことになります。

 

それに関連すると考えられるのが、恒星がヘルプで入っている会社の「怪文書」。

一見すると恒星とは全く関係ないようですが、彼の行動を観察していて、なおかつ何かの罠にはめようとしている人物がいるとすれば、怪文書問題と恒星が繋がってきます。

恒星がブラックな案件に手を染めていることは知る人ぞ知る的な情報のようですから、それを知っているとなるとやはり粉飾の当事者である兄が何らかの形で絡んでいるのでしょう。

兄との関係は修復できるのか、そして前に進むことを拒む粉飾問題を清算することができるのか、ここが見所ですね。

 

晶:マンションの契約更新=仕事からの解放?

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恒星の場合は、爆弾を仕掛ける相手が定まっているように思えるのでわかりやすいのですが、晶の爆弾は誰に向けたものでしょうか?

マンションの契約を結び続けていたのは京谷との結婚に備えてのものでしたから、京谷と別れた今それに何の関係があるのかと思えますよね。

 

考えられるのは、ツクモクリエイトです。

 

現在、晶が勤務するツクモクリエイトジャパンは空前の危機にあります。

九十九が疑心暗鬼になって会社に監視カメラを仕掛けたことからSEたちが反発して出社拒否。エースの佐久間は転職を本気で考えていて、九十九も営業があまりうまくいっていない様子。

晶、佐久間、九十九という3本柱のうち、佐久間さんは抜け出そうとしていますから、晶が爆弾をしかけるとしたらここしかないのでは。

 

そこに家の契約がどう関わってくるかと言えば、勤務地にある程度自宅の場所が縛られるということです。

朝は早く夜は遅いことの多い九十九の会社での勤務を思えば、引っ越した時に通勤時間が伸びたりするようなことは避けたいはず。

逆に言うと、家の縛りさえなくしてしまえば「都合の良い笑顔の女性社員」という強い晶のイメージを押し付けてくるツクモクリエイトとの関係を切るいい機会になる。

では、晶が会社を辞めたとしたら行き先はどこになるか?

 

橘カイジの会社です。

 

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第一話からたびたびペアとなって話すシーンが多かった二人。

先週の考察では、佐久間の転職先としてあり得るのがカイジの会社だという話をしましたが、この先の回でカイジと出会った晶が佐久間と一緒に転職することも十分に考えられるのではないでしょうか。

恒星の言う所の「笑顔がキモい女」状態は、恋愛面では脱することができました。

しかし、日常の大半を占める社会生活、つまり仕事面では未だにその肩書きはついたまま。

晶が最後に向かうゴールとしては、「vs九十九」の展開になることは十分に考えられます。

日テレドラマ

というわけで、これからの展開に橘カイジがどっぷりと関わってくることを予想した考察となりました。今週はこんな感じで!