現役テレビ局員の映画・ドラマ研究記

在京キー局で暗躍するテレビマンが送る、読んだら誰かにこそっと話したくなる映画・ドラマの徹底考察! ※本サイトの見解は全て筆者個人のものであり、特定の会社を利するものではありません。

「最強のメモ」講演で前田裕二さんに痺れる

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先日、一橋講堂にて行われたNewspicksアカデミアの講演「最強のメモ」に参加してきました。

お目当ては、2018年末に発売されるや爆発的な広がりを見せているビジネス書『メモの魔力』の著者、前田裕二さん。

自分でもどういう巡り合わせか覚えていないながら、発売日に通称『メモ魔』こと本書を買い、その熱量と具体的すぎるフレームワークに感動。それ以来前田さん関連の情報は常にチェックしているのですが、今回『メモの魔力』に関する講演が開かれるということで、鼻息荒くNewspicksアカデミアのサブスクリプション(月額5000円くらい)を購入して参加したのでした。

 

講演の冒頭で前田さんは、

「せっかく時間とお金を使って来ていただいたのだから、それ以上の価値をこの場で提供したい」

と宣言。実際どうだったかと言うと、、、

5000円の100万倍くらいの価値がありました(複利込み)。

あの場にいただけでもその辺のセミナーのうん十倍価値があったと思うのですが、前田さんによってバッキバキに火をつけられた状態で会場から放り出されたため、これから先の行動を通じてさらなる価値が得られるのだと思いました(複利込みとはそういう意味です)。

 

講演の内容は、#最強のメモ #Newspicksアカデミア とかでツイッターを回れば見られると思います。

しかし内容はネットで読めても、「リアルな生物としての前田さんの凄み」だけはあの場にいないと掴めません。

「人を惹きつける力」、「自分に才能があると信じさせる力」。

この二つが飛び抜け過ぎていて、会場内の熱気がどえらいことになっていました。

 

若くして年商何億と稼ぐ天才実業家

 

一面を切り取れば、前田さんはこのように表現できます。私も実際、この講演に参加するまでは心の片隅でそう思っていたことは否定できません。

しかし、生で「前田体験」をした身からすると、

 

膨大な数の思考・行動によってとてつもない成長を遂げた男

 

だとわかるのです。成長の足跡がその姿からくっきりと見えます。

だからこそ、この人の言っていることは説得力があるな、自分もやりたいなという気持ちにさせられました。

どれだけ言語化できるかわかりませんが、昨日の講演で前田さんという個体から感じた印象を少しまとめてみます。

 

普通のお兄ちゃん

まず、登場した瞬間に驚いたのがこれ。

「どうもー。前田ですー、よろしくおねがいしますー」

姿勢を低くしながらひょろっと登壇するやいなや、第一声がこの力の抜けた感じ。

本当に、どこにでもいそうな優しい顔したお兄ちゃん。

その人が私たちが普段使うような、

めっちゃ・なんか・すごい・超

などのワードを連発する。

 

実はQ&Aの時に、「その親近感持てるワードチョイスは自己プロデュースなのですか?」とマジで聞こうと思ったくらい、言語選択が庶民的。

「若くして企業した、将来を嘱望されるIT社長」なのに、ものすごく我々に近い言葉で喋ってくれる。

このギャップでのっけから心を持って行かれました。

 

しかしだんだん議論が進んでいくと、この言語感覚のとてつもなさがわかってきます。

どんなに抽象的な話になっても、難しいカタカナや曖昧な漢字が羅列された言葉を一切使わず、一般的な言葉で表現しつづけるのです。

正確な表現かはわかりませんが、大学で専門的に学ぶ数学すらも、前田さんが説明したら幼稚園生でも理解できるのではないでしょうか。

とにかくわかりやすい。そして頭にものすごいスピードで言葉が入ってくる。

 

これは、『メモの魔力』で書かれている「抽象」「転用」を極めに極めた人が達することのできる境地なのではないか。

どんなに難しい概念でも、頭のフィルターでどんどん濾過して残った純粋な部分だけを言葉にして伝える。

前田さんの言葉を聞いていると、そういう思考の積み重ねが感じられました。

 

人の期待+αで跳ね返す習慣

これは講演の冒頭でも「コンビニでおにぎりの賞味期限を調べてと頼まれた店員」の具体例を通して話していたことです。常に相手の本当のニーズを察知して動くこと。

言葉にすると当たり前ですが、Q&Aの際に前田さんが見せた対応が最もそれを実践している例になっていました。

 

客席にいる人と直接やり取りをする流れになった時のことです。

 

質問者「メモ魔術(前田流メモの取り方のこと)を本にする前に他の人、例えば社員の人などに教えたのですか?」

前田さん、しばし考え……

前田「その質問の意図としては、自分はこの先本を出す予定などは特にないんだけど、会社で部下を抱えるなどしてチームを作った際、自分の仕事の方法論を教える場面に直面したらどうしたらいいのか参考にしたいということですよね?」

 

隠れたニーズどころの騒ぎではありません。

その質問者が置かれている状況、何に悩んでいるのか、自分はどの面から助言を与えるべきか、そんなことまで想像した上で答えようとしていたのです。

おそらく思案顔だった最中に質問を抽象化し、頭の中で検索をかけ、自分が持っているどの部分で答えるべきかに転用していたのだと思います。

私が講演中に1番衝撃を受けたのは、あの場面でした。

 

メモに覗かせる狂気

どんな場面でもメディアに出ているときは割とクールな顔を見せている前田さんですが、会場が大爆笑だった「地方で遭遇したタクシー運転手」の話の中に、ある種の狂気を垣間見ることができました。

 

「今は地方で運転手をしているけれど、去年までは20年間歌舞伎町でタクシー運転手をしていた。しかもその当時は売り上げナンバーワンだった」

この文言からして魅力満載のタクシー運転手さんに、前田さんは大変感銘を受けたとのこと。

そこから興味が分化していき、「なぜ歌舞伎町に」「20年の間奥さんとの関係は」「ナンバーワンになった理由は」など、様々な側面からファクトをかき集めたエピソードを披露した後に前田さんが放った一言、

 

「もう、こんな運転手さん抽象化したくてよだれジュルジュルじゃないですかぁ!」

 

狂気的すぎる。ビジネスに転用する術としてメモ魔術は紹介されているけれども、前田さんがメモを取る前提にあるのは

ただただ楽しいから

なのではないかと思いました。

「楽しい」の一言にまとめるのももったいないくらい、様々な快感が喜びがメモを取るという行為に結びついている、だからこそ本を出せるくらいまで人に語れる。

ただ、あの場で前田さんの「よだれジュルジュル」発言を聞いていた人たちが爆笑していたのは、その気持ちを共感できる人が多かったからでしょう。

身の回りの言語化されていない無意識を発見して、抽象化して、行動に変える。

「メモ魔術」は脳のスペックを使う作業ではありますが、それを超える楽しさがあるのも確かなのです。

 

というわけで、私の初めての前田体験レポートでした。

これから先もきっとイベントなどでメモ魔の卵たちとコミュニケーションを取ってくれる場があると思うので、気になった方はぜひ参加してみてください!(もれなく私もその場にいることでしょう)