現役テレビ局員の映画・ドラマ研究記

在京キー局で暗躍するテレビマンが送る、読んだら誰かにこそっと話したくなる映画・ドラマの徹底考察! ※本サイトの見解は全て筆者個人のものであり、特定の会社を利するものではありません。

「大恋愛 第五話」感想・レビュー

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一度は離れ離れになってしまった真司と尚を結びつけたのは、二人が過ごしてきた大切な時間でした。もう一度二人が再開するところから、居酒屋でのプロポーズシーンなど、今週も「大恋愛」らしい素朴で素敵な場面がたくさんありましたね。

 

↓第四話の感想はこんな感じ↓

www.ik-earlymorning.com

 

木南晴夏演じる真司の担当編集(名前が出ていなかったので仮に紫ちゃんと呼ぶことにしましょう。特に意味はありません)が、真司の小説の良さとして、

「どんなに過酷なことを書かれても、なぜか暗くならない」

と言っていましたが、実はこの良さは真司自身のものでもあり、「大恋愛」というドラマ全体を包み込んでいる魅力でもありますよね。

 

毎週書いているような気がしますが、やはりこのドラマを見ていて常に考えなければならないのは、「いつか尚は全てを忘れてしまう」ということ。

暖かい雰囲気のドラマではありますが、このどうしようもなく恐ろしい事実が時限爆弾のようにタイムリミットを刻んでいて(『残りの時間』という言葉がドラマ中何度も出てきます)、それを私たちもなんとなく感じているからこそ二人のやり取りを真剣に聞けるんですよね。

 

そして、真司がベストセラー作家になったことで少しまろやかな人柄になりました。

以前はうまくいかない自らの境遇に焦ってしまう側面がありましたが、やはり本来の仕事で成功できたことで精神的な余裕ができたのでしょう。

これで先週まで真司を苦しめ続けていた尚との格差や、彼女を支えつづけるための自分への疑念みたいなものが解消されたんだと思います。

 

真司が得た金銭的余裕

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私は真司が書いている小説は、尚が全てを忘れた後に回想録として出版するものだと予想していたので第五話で発売されたことに驚きました。

しかもタイトルは「脳みそとアップルパイ」。タイトルを考えるシーンで一瞬だけ「僕を忘れる君へ」と打ち込んでから消す場面があったので、やはりドラマと同じく「大恋愛 僕を忘れる君と」になるんだなあとも考えていただけに、予想を外しまくり、、

ただ、真司の小説調の回想ナレーションは続いているので、最終回でまた同じように尚に関する私小説を出すのかもしれないですね。

 

小説の装丁もまたセンスがよくて、りんごの断面が脳のCTスキャンの画像みたいにデザインされているんですよね。りんごが尚の脳を象徴しているということでしょう。

 

また、これは無粋な話ではありますがおそらく真司を苦しめた大きな障害である金銭面に関わる話なのでさらっと触れておきます。

 

真司が出した小説は20万部の発行されたと紫ちゃんが喜んでいました。

では、「脳みそとアップルパイ」で真司が得られる印税収入はいくらになるのでしょう?

 

調べてみると売り上げの10%が相場らしいですが、これは人気作家の場合らしく新人やそれに準ずる人だともう少し低いそう。

真司も新人ではないにしても20年のブランクがありますので、5%くらいがせいぜいではないかと想定します。

そして、一般的な新書の小説の値段として1200円と仮定すると、

 

1,200(本の値段)×200,000(発行部数)×0.05(印税のパーセンテージ)=12,000,000

 

いっせんにひゃくまんえん、、、、

 

ベストセラーってすごいですね、、

大雑把すぎる試算なのですが、概ね1000万くらいは真司の手元に入ってきてるんではないでしょうか。こうなれば当面の生活不安は解消されますよね。

 

しかもベストセラー作家という肩書きが一度ついたわけですから次回作も出版しやすい状態かつ、印税ももう少しは上がるはず。

元々才能があった真司にとってこれから金銭的な問題は起きにくくなったと予想されます。

 

奇跡は意外と、よく起こります

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なぜか二人の結婚式にまで出席して号泣してた居酒屋夫婦。いい味出してました。

真司がプロポーズするシーンはまさに彼らしさが凝縮されていて、場所も小洒落たレストランなどではなく、二人が意気投合した大衆居酒屋。

 

プロポーズシーン全体に満ちていたのは、「小さな奇跡」の連続。

まるで前クールのぎぼむすのテーマ「奇跡は割とよく起こります」を反復したようなもので感動的でした。

 

第一話で真司がアフレコした店長とバイトの女の子の会話、「私、できちゃったの」がまさかの現実化。尚が真司に振られて一人店にいるときはお腹が膨らんでいて、プロポーズする直前では子供が生まれていました。

さらにラッキーハイボールのチンチロ。これ、ザ・大衆居酒屋って感じがしていいですよね。

この店は挑戦してゾロ目が出ると2倍ジョッキとしていましたが、大抵はゾロ目を外すと2倍の値段で通常サイズのハイボールが出てきたりするんですよね。

 

とまあ、そこでも運が強い尚。ピンゾロを出して、過酷な状況の中起きた奇跡に浸らせてくれます。

 

「大恋愛」は本当にムロツヨシと戸田恵梨香の掛け合いが最高で、見ていて幸せな気分にさせてくれますね。お願いだからこの二人が幸せなまま最終回まで走ってくれるといいのですが、、、

 

来週からは第二章、結婚した二人に何が待ち受けているのか楽しみに待ちましょう!