現役テレビ局員の映画・ドラマ研究記

在京キー局で暗躍するテレビマンが送る、読んだら誰かにこそっと話したくなる映画・ドラマの徹底考察! ※本サイトの見解は全て筆者個人のものであり、特定の会社を利するものではありません。

「大恋愛 第四話」感想・レビュー

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 早く続きを見せてくれ!!

 真司が優しさ故に別れを告げたと思いきや、次回予告で結婚式あげてるし、「第1章、完結」とか言ってるし、まさかの木南晴夏さん登場だし!

 

 今週を助走と言うにはあまりに不適切ですが、来週への期待値をぐんぐんにあげて終わらせてきました。

 

やたらトレンディな女に捕まる侑一さん

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 私が何気に毎回楽しみにしているのが、松岡くん演じる侑一さんの新結婚相手探しです。侑一の母親がどこからか見合い相手を見つけてきては即会ってみるという、謎のトライ&エラーを繰り返してきていましたが、今週ついに極地に至ったと言えましょう。

 

 明らかに自分のステータスを過大に見積もっていそうな、レイという名のエリート女医が侑一を丸め込むような形で手に入れました。

 彼女が登場したシーン周辺は、90年代かと思うようなキュッキュキュッキュとしたBGMが流れ、画像の通り彼女もまんざらでもなさそうです。

 レインボーブリッジ背景に背負ってますからね。もう、トレンディの象徴みたいなものなんでしょうねあの橋は。

 大恋愛に登場するキャラクターは、善玉悪玉がかなりはっきりと別れていて、レイは悪側にバリバリ振られた人物なのでしょう。

 常に周りとの比較で物事を考え、他人を見下したりアクセサリーにしたりする。

 侑一さんもどこかで諦めているのか、何も口にしませんし表情に出したりしませんが、こんな女性ばっかりいたらそれは尚さんみたいなレアタイプを思い出しますよね。

 

 登場して5秒でトレンディ要素全開、プラスすごい嫌な女ということがわかったので私的にはもっと見ていたかったのですが、今後の出番はあまりなさそうです。

 

見るたび色々な考えが浮かんでくるオープニング

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 正直今週は、いつか真司が超えなければならなかった侑一との現実的な要素(金銭力、医学的立場)などと真正面からぶつかる回ということで、話としてはストレートでわかりやすいものでした。

 その答えとしてだしたのが突然の「別れよう」でしたが、今週真司が痛感してしまった壁をどうやって来週乗り越えるのかが楽しみですよね。

 

 そして、回が進むごとに味を出してくるのがオープニング映像。

 最初見たときは「なんてベタな映像なんだ」と思ったものですが、今となっては考察しがいのある要素てんこもりのお宝映像となっています。

 

 考えるポイントとしては、

・舞台設定(砂浜)

・衣装(白装束)

・二人の表情と動作

 と、大きく分けて三つあると思います。ひとつひとつ考えていきましょう。

 

1、舞台設定

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 これは一番わかりやすく、「砂浜」です。ドラマの中でこのワードが出てくるのは、

「砂にまみれたアンジェリカ」

 二人を結びつけた真司のデビュー作です。

毎週何かしら言及され、尚が小説の一節一節を記憶しているということもあり、彼女の病気の進行具合とシンクロしてこの小説が出てくることが暗示されていると考えられます。

例えばどんなに記憶をなくしていっても、好きな人の書いた小説の一節が出てきて、それがまたすごく泣ける言葉で、、、みたいな使い方もしそうですよね。

 

またこれは次の衣装の考察にも関わってくるのですが、砂浜は当たり前ですが海に接続しています。

やっぱりこのような題材のドラマで海と関連してくるのは、彼岸と此岸=あの世とこの世。

このオープニングが起きている場所は実はこの世ではなく、向こう側の海なのかもしれません。

 

2、衣装

二人が身にまとっているのは、全身真っ白の衣装です。尚が着ているセットアップは普通に清楚系の女性の服として考えることもできますが、気になるのはやはり真司まで真っ白なこと。

全身白で連想されるのは死装束でしょうか。(結婚式の衣装という可能性もありますが、海辺には二人しかいないのでそれもあまり考えられません)

1と2で導き出されるのは、やはりこの海辺は死後の世界。もしくは、何か一つ、「死」のようなものを迎えた後の世界。

この場合だと、それは尚が完全に記憶を無くしてしまった後でしょう。

 

3、二人の表情と動作

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 そうして考えていくと、この尚の表情も説明がつくと思うんですよね。

この表情は、現在ドラマの中で見せている真司に対するものとはかなり違っています。

穏やかすぎるというか、悩むものが何もなくなっているというか。

言ってしまえば、目の前にいる男性が誰だかわからなくなっている状態だと思うんですよね。

そして、その直後に行う動作は、尚が砂を手ですくい、こぼれていく砂を真司が受け止める。

 

砂は尚の記憶の象徴で、二人の動作もそれに対応していると考えられないでしょうか。

砂はどうしても尚の手からこぼれていく。しかしそれを真司が受け止める。

これは失われていく記憶を、真司がそっと手を差し伸べてすくいとっていくという二人の美しい関係性の表現だと思います。

 

まとめると、このオープニングは

 

尚の記憶が完全になくなってしまった後の世界で、それでも懸命に真司が彼女の記憶をこぼさずに受け止めていく、支えていく。尚が自分のことすら忘れても、真司が絶対に覚えている。

 

そういう意味を持っているのではないでしょうか。

 

もちろん、もっと話が進んでいくと別の意味合いも見えてくるのかもしれませんけどね。

というわけで、第1章が完結する来週がますます楽しみになってきました!!