現役テレビ局員の映画・ドラマ研究記

在京キー局で暗躍するテレビマンが送る、読んだら誰かにこそっと話したくなる映画・ドラマの徹底考察! ※本サイトの見解は全て筆者個人のものであり、特定の会社を利するものではありません。

「大恋愛 第二話」感想・レビュー

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 すでに第二話で泣いてしまいました。ムロツヨシが演じる真司の不器用な行動全てが、ぎこちないのにかっこいい。この二人がこれからどうやってアルツハイマーと向き合っていくのかをずっと見ていきたいと思えた回となりました。

 

金スマでやっていたアルツハイマー特集

 大恋愛の前の時間にやっている、中居くん司会の「金曜日のスマイルたちへ」。今週は若年性アルツハイマーの特集でした。この番組は、ほぼ毎回金10枠のドラマに関する特集をやってくれるのですごく見たくなりますし、ただの番宣という取り上げ方をしないで知識欲を満たす番組編成の仕方がとても上手だなあと視聴率的な目線で思います。

 

 その特集は、今後の尚を襲う苦難を先取りするようなものかつ、当然ですが取り上げられていた本人たちの様子を知ることができるものでした。

 劇中で元婚約者の松岡くん演じる医師が、アルツハイマーに対する予防策として、「適度な運動をして、食事をとって、十分な睡眠をとる」という、小学生みたいなことを言っていましたが、若年性アルツハイマーにかかる人は睡眠不足の人が多いということが現段階でわかってきたとのこと。若い頃の無理が大病につながることはなんとなく知ってはいるものの、まさかアルツハイマーにまで至るとはと、衝撃を受けました。

 

めちゃめちゃかっこいいムロツヨシの全力疾走

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 今回はまさにこの一枚に尽きるのではないでしょうか。ラストの、尚のSOSに応えて現場に急行する真司。

 

 やはり恋愛ドラマの良し悪しを決定づけるのは、いかに「走る」か。

 古くはダスティンホフマンの「卒業」に始まり、アニメでは「時をかける少女」の印象的なダッシュ。恋をする人たちはどんなに文明が発達しても愛する人の元へ「走って」いくのです。

 だからこそ、この走るという行為は大事で、それをどんな風にインパクトのあるシーンにするか。それが私の中での恋愛モノの魅力の一つとなっています。

 そして、大恋愛第二話でついに出てきた「走り」はどうだったか。

 

めちゃめちゃいい。

ダサい。しかし異常なまでにかっこいい。

 

 これです。私が泣いたのもこの真司の全力疾走のシーンでした。

 だって、走り方に真司という人間が凝縮されているんです。今までの人生において走ることが少なかったことがわかるバラバラな体の動き。下手すれば女の子走りにもなりそうな腕の角度の低さ。

 褒めてんだか貶してんだかわかりませんが、でもその真司が走るからかっこいいんです。今まで全力で走ったことがないような人がダッシュするほど尚のことが好きだということではないでしょうか。

 そう思うと、「頑張れ、頑張れ」とこちらも全力で応援したくなりますよね。

 

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よく走る人の代名詞はこちら

冷たい人に囲まれた日常で真司と尚の温かみが沁みる

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 真司が尚を見つけたあとも素敵なシーンが続きました。

 病気の尚を慰める真司。「え?ここキスする場面じゃないの?」と言う真司を手でガードする尚。

 悲しい場面が続いた中でもこうしたユーモアのあるやりとりにほっこりします。

 特に思うのが、真司に対する社会の当たりの強さや、尚の病気に対する周囲の反応の冷たさです。

このドラマで優しいのは主役の二人だけなのでは?

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 売れない小説家という社会的立場の低さから尚の母親に別れろと迫られる真司。

 尚が大病を患ったと発覚する前に婚約解消できたことを「ラッキーだった」と表現する婚約者の両親。どちらもこういう風に冷たく感じられるように撮影していることもあって、見ていてなかなかはらわたが煮え繰り返る感じ。

 今週は特にそうで、真司もツライ目に逢いますし、尚は尚で真司と一度別れる決断までします。

 もちろん尚の母は、娘に対する愛情を見せて一緒に病気と戦うと声をかけていますが、真司と対峙した場面での一方的な攻撃っぷりは、

某武士の娘

 

 を想起させるものがありました。

 

 そんな周りの環境をくぐり抜けてたどり着いたラストだからこそ、あの二人の心温まるやりとりに余計感動するのかもしれませんね。

 

二人の思い出が今後の鍵になる?

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 次回予告でもちらっと出てきていましたが、来週からは若年性アルツハイマーとの戦いが本格的に描かれていくのでしょう。

 次第に物事を忘れていく尚に、真司はどう向き合っていくのか。そして尚自身も、そんな自分をどう受け入れていくのか。

 今週は「観覧車」が何度も出てきましたね。第一話でも二人が歩いていた場所でもあります。ここが二人の共通の思い出になっていたことで、真司は尚のピンチにかけつけられたのでした。

 こういう風に、お互いが知っているもの・こと・場所を忘れていってしまうことも展開の一つとして考えられますね。現状キーになりそうなアイテムは、

 

・砂にまみれた人魚(真司のデビュー作。尚の大好きな本)

・黒酢はちみつジュース(二人が出会った時にあったもの)

・観覧車(二人がたびたび通る橋から見えるもの)

 

というところでしょうか。

 

 今のところリアルタイムで見れていないのですが、録画でなんとしてでも見ていきたい大恋愛、今週はここまで!