現役テレビ局員の映画・ドラマ研究記

在京キー局で暗躍するテレビマンが送る、読んだら誰かにこそっと話したくなる映画・ドラマの徹底考察! ※本サイトの見解は全て筆者個人のものであり、特定の会社を利するものではありません。

「ブラックペアン 第三話」感想・レビュー

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 1日遅れでTBS日9「ブラックペアン」を見ました。昨日は西郷どんも見逃したので急いで回収していかないといけませんね。。。さて、現代版「振り返れば奴がいる」こと「ブラックペアン」ですが、今までは竹内涼真くん演じる世良先生が医者の光とダークサイドの間で煩悶する様が描かれてきました。今週は基本的に渡海先生が活躍する回でしたね。というより、、

 

感想:ここにお医者様はいませんかぁぁぁぁ!!!

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 この一言につきますよね。仮にも世界に誇る心臓外科を持っているはずの医局の医師たちが、ことごとくなにもできない。というかこの病院に渡海先生以外戦力はいないのか。ドラマ上の演出だというのはもっともなことですが、基本的にまともな執刀をしているシーンがあったのは渡海先生以外いません。「スナイプ野郎小泉」こと高階先生に至っては、スナイプを持って顔をしかめながら突っ立っているだけで今週は終わりました。

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スナイプを手に手術台にたたずむスナイプ野郎小泉

  お話としても、今週特に進展なかったと思います。とりあえずスナイプの成功例ができたのと、ジャニーズ事務所特有のバーター出演を特に動きのないこの回で消化することができたくらいでしょうか。つまるところ、全然見れるけど初回と二週目くらいよりは若干しぼんだかな?という印象です。なぜかと考えた時に、自分がリアルタイムではなくTverで見たことが一つの理由ではないかと思いました。

 

日曜劇場がTver視聴に向かない理由

 TBSドラマの、特に日曜9時の、さらに限定するなら「半沢直樹」を撮った福澤監督組の撮るドラマは、最もテレビ向けエンタメとして優れていると私は思っています。それは、テレビドラマをテレビで見ることに最も特化させることに成功しているからです。当たり前だろと思うでしょうが、この場合の「テレビで見ること」とは、リアルタイム視聴に限定されています。録画やTverは含まれていません。どういうことかというと、CMの使い方がめちゃめちゃうまいと思うんです。面白いテレビドラマは、CMすらも話が続いているように感じる。「アンナチュラル」を想像してもらえばすぐわかります。何か一つの大きな謎が石原さとみの頭に浮かんだらしい、そしてそれを言いかけた、その瞬間CMが入る。あれは何を思いついたのだろう!CMの間私たちは考えます。そして集中力を再び結集させてCM開けを待ちます。このようなサイクルが特に日曜9時のドラマには意識的に取り入れられているのです。例えば今回も、渡海先生が手術を突然放棄して、竹内涼真に手を差し伸べる。その意図を知っているのは渡海先生のみ。これはなんだ?そして入るCM。このように、CMを「間」として上手に使っているんですよね。だからこそ、録画視聴やTver視聴だとその「間」が十分に機能しない。日9はこんな風に、リアルタイムだからこそ乗りに乗って見ることができる特性を持っていると思います。

 

ブラックペアンは誰のもの?

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 劇中で一つの謎(マクガフィンと言えるでしょうか)となっているのが、このブラックペアンのレントゲン写真。渡海がついに今週、「もう少しか」とこの写真について言及しましたが、以前謎に包まれています。おそらくこれは渡海と佐伯の過去にまつわる何かでしょう。これによって渡海は佐伯にとって「貢献している」存在となった。

 ではそれは何か?二つ説が考えられると思います。

一つ目は、佐伯が握っている渡海の医療ミス説。完璧にも思える渡海先生ですが、過去に大きな医療ミスをやらかして、それを佐伯教授に握りつぶしてもらったのかもしれません。そのせいで渡海は片田舎の病院に佐伯の手足として働き続けなければならなくなった。渡海はこれが露見すること恐れているかつ、佐伯の元から解放される時をいまかいまかと待っているのかもしれません。

もう一つは逆で、渡海が佐伯の医療ミスを握っている説。何かのきっかけで若い頃の渡海が佐伯の秘密を知ってしまい、これを利用して渡海が今の技術を身につけた。言うならば、悪魔の技術を佐伯の秘密と交換に手にした、という説です。この患者が誰かはまだ明かされていません(渡海の父親かもしれませんが)が、渡海がこれほどまでに卓越した医療技術を手に入れた秘密がここにあるのかもしれません。ただ、佐伯の虎の巻を読めば技術が手に入るなんてパワプロみたいなことはありませんから、フィクションとしてなにかの飛躍が必要になってきますが。

 

 というわけで、今週は「この中にお医者様はいませんか!」の一言につきると思います。来週からついに佐伯教授が話に本格的に絡んでくるということで、たまにはこういう間延びした回があってもいいんじゃないかと思います。最後はブラックペアン恒例、今週のおてんちゃんでお別れです。

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あらまあとレントゲンを見るおてんちゃん