現役テレビ局員の映画・ドラマ研究記

在京キー局で暗躍するテレビマンが送る、読んだら誰かにこそっと話したくなる映画・ドラマの徹底考察! ※本サイトの見解は全て筆者個人のものであり、特定の会社を利するものではありません。

「ブラックペアン 第二話」感想・レビュー

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  金曜の「あな家」、土曜の「おっさんずラブ」一話、二話とカロリーの高いレビューを書いて疲弊したところに「竹内涼真」というジャンルvs悪魔の外科医の「ブラックペアン」第二話がぶっこまれてきててんてこまいでございます。今週さらに竹内涼真が入ってしまった病院の闇がクローズアップされていましたね。その上みんなカトパンにころころ転がされていて、インテリに金&女が絡むとロクなことにならねえな!っていうちょっとした(いやかなり)イヤ〜な要素が出ている第二回でした。

 

感想:みんな竹内涼真くんをいじめないで!!!!!

 

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ペレを思って練習に励む世良せんせえ

 初回の記事では、「ブラックペアン」は医療版「スターウォーズ」だ!と、ニノくん演じる渡海先生をアナキン(ダースベイダー)、竹内くん演じる世良先生をルークに例えて論じましたが、ルークの受難は続きましたね。冒頭から急患の手術を任されて患者を殺しかけ、それが恐怖となって、せっかく初回で医者を続けようと決意した世良先生の意志を妨げます。TBSドラマの放送の仕方がうまいなーと思うのは、CMをうまいこと後ろの方に多めに持ってきて、最初の3分の1ほどを絶対に切らないで見せるところ。こうすることで視聴者を否応なしにドラマの世界に引き込むことに成功しているのですが、TBSの営業さん的にはなかなか厳しいものがあると思います(CMをスポンサーが出しても後ろの方にドバッと放出されるとわかっていればCM枠を売りづらいと思うのです)。それでもそれをやってのけられるのが圧倒的な視聴率の良さに支えられてのことなのでしょうね。そのおかげで(?)今回も30分くらいずっとCMなく竹内くんの苦悩する姿が描かれていて、見ていてだいぶ辛かったです。余談ですが、「ブラックペアン」のスポンサーにはサッポロが入っていて、爽やかな二宮くんが麦とポップのビールを宣伝したりして「あれはお芝居の世界なんだニノはいい人ニノはいい人」って私たちを現実に戻してくれます(作品の世界観と整合性が取れないからか今週はありませんでしたが)。

 もう一つのCMがソフトバンクのCMなのですが、こちらも竹内涼真くんが爽やかな教師役として出演しています。これが流れると医療業界にいじめられながらも奮闘する竹内涼真くんが回復したような、セラピー的な役割を果たしてくれていて見ているこっちが一息つけたのですが、今週は巨大化した広瀬すずちゃんのやつでしたから90分間世良先生は険しい顔しっぱなしでした。

 

逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ

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ぼくには、、エヴァなんか操縦できないよ、、、

 「オペ室の悪魔」こと渡海先生の研修医として厳しい外科医修行に励む世良先生がメインとなった第二回でしたが、さながらエヴァンゲリオン碇シンジくんみたいでしたね(これもソフトバンクのCMで主題歌を歌っていたのでなんだか面白い結びつきです)。人の命を預かる外科医の仕事ってそれだけプレッシャーのかかる職業なんだと思いますし、研修医にいきなり執刀させるのもかなりシビアだなあとは思いますが、世良先生は「ぼくにはできません!」と渡海先生を頼ったり高階先生を頼ったりと、メソメソメソメソしています。でも世良先生の苦悩をエグい形で伝えているのが今作の医療シーン。「ブラックペアン」の医療演出のうまいところは、手術シーンがタランティーノの映画っぽいんですよね。

 

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左じゃなくて、右のことです

 この、マリファナでぶっとんじゃったミアに注射器をぶっ刺して生還させようとするシーン。劇中で出てくるスナイプも針状の手術道具ですし、クロースアップがポンポン放り込まれていって緊張感を出していく演出にかなりハラハラドキドキさせられます。医療系ドラマのお約束ではあるのですが、手術の成否が「鮮血が飛ぶか否か」で見ている側にも簡単にわかるようにするルール作りもされていますからね。だから私たちから見ても竹内涼真の苦悩は伝わりやすい。ウジウジしていても、「竹内涼真頑張れ!!!!」と応援したくなってしまいます。

ルーク竹内は闇堕ちした外科医たちを救えるか?

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スナイプ野郎降臨

 今回の山場として、企業側から裏金をもらっているとしか思えない勢いでスナイプをゴリ押しする高階先生の「医師としての矜持」をルーク竹内が目覚めさせようとする、という一連のシーンがありました。私自身も見ていて、「あぁ、このドラマはこうやって世良先生がダークサイドに堕ちた医者たちを正義の側にカムバックさせていくのかな」などと思っていたのですが、そんな簡単にいきそうにありませんね。世良先生の心の叫びに感化されて高階先生は手術室へ向かったのかと思いきや、結局は渡海先生との賭けに負けたくないために刺激していただけだった、という結末になりました。この病院が抱える闇は相当深そうです。来週も「竹内涼真」というジャンルがいかに変容していくか、楽しみに見ましょう!最後は、「今週の白衣のおてんちゃん」こと 葵わかなちゃんでお別れです。

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おてんちゃんはハイコントラストで映える