現役テレビ局員の映画・ドラマ研究記

在京キー局で暗躍するテレビマンが送る、読んだら誰かにこそっと話したくなる映画・ドラマの徹底考察! ※本サイトの見解は全て筆者個人のものであり、特定の会社を利するものではありません。

「ブラックペアン 第一話」感想・レビュー

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 ついに春クールドラマが出そろいましたね。最後を飾るのは現在日本のテレビドラマのトップを走っているTBS日曜9時枠。貫禄の、というか余裕の最遅スタートです。二宮君久しぶりの連ドラ登板でしょうか。日本アカデミー賞取ったりすっかり演技派としての地位を確立しつつある二宮君、ちょうど撮影が終わったばかりであろう最新映画「検察側の罪人」でも、監督の原田眞人さんがその演技力をべた褒めしていました。

 

感想:二宮君最終回で刺されないよね!?

 

 完全に「振り返れば奴がいる」を思い出しました。腕はめちゃくちゃいいんだけど、すげえ嫌な外科医。織田裕二が若い頃に演じた司馬先生を彷彿とさせる内容でした。そしてその対比として登場する世良(竹内涼真)の純真さ。あれは石黒賢が演じた織田裕二と対立する外科医そっくりですね。さらに渡海先生(二宮君)は気に入らない奴をひたすら排除していく。このエピソードもありますね。そして最終回の悲劇に繋がるんですよね。とまあ、こんな感じで「振り返れば」をめちゃめちゃに思い出しまくったのですが、さすが日9。クオリティがハンパじゃない。

 田舎の大学病院と東京にある大病院とで心臓外科学界の派閥争いがあって、、、みたいな、「中央」対「周縁」、「権力」対「民間」という福澤監督の十八番となっているおなじみの構図で展開されるのかと思わせるスタートを切っておきながら、実は竹内涼真葵わかなちゃん以外全員嫌なやつだった!!!という衝撃の展開。あと、一番気になったのは、手術室のマイクの音量を上げ下げするだけの役割の人、いましたよね。あの人はなんなのだろう、、、、

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この病院だったら入院したい

 あとはこの2人の純真さ。正直担当医:竹内涼真、看護師:葵わかな だったら是が非でも入院させてください!!ってなりますよね。

 

医療版「スターウォーズ」だ!!

 このドラマを見ていて思ったのが、竹内涼真くんが相変わらず竹内涼真という役柄を演じているな、ということ。「帝一の国」の大鷹暖や、「陸王」の茂木、ソフトバンクのCMの先生にいたるまで、さわやかでウソのつけないイケメンというキャラを演じ続けてきているわけですが、今回それに悪魔的なキャラクター、渡海をぶつけることで竹内涼真というある種の「ジャンル」を破壊しにきているわけです。

 これは、スターウォーズでいうところのアナキンスカイウォーカーの闇堕ちに近いものがあるのではないでしょうか。人を救うことができるという最強のパワーを得る代わりに、あの竹内涼真が悪に堕ちる、、、なんという展開か。そして渡海先生は先に闇堕ちしてるんですよね。おそらく佐伯先生の手によって。

 あれ、となると佐伯=ダースシディアス 渡海=アナキン 竹内=ルークの流れになるから、竹内ルークは闇に堕ちた渡海に善の心を取り戻させるという展開になる、、、??いや、それは激熱ではないか!!そして渡海に引導を渡すのも竹内になるので、やはり竹内涼真が渡海に病院を辞めさせられて背後から刺し殺すという最終回が待っているのでは、、、??

 そこはまあいいとしても、渡海が善の心を持っている説は意外と的外れではないと思っていて、それは渡海が初回の最後に、「お前の患者を助ける代わりに1億円払え。払い終わるまでは俺の下で働け」と言っているんですよね。あれ、竹内涼真は正直医者を辞めようと考えていたと思うんですよ。そこに有無を言わさず医者を続けさせられる条件を突きつけられた。渡海は他の医者はクビにさせるけれども、なぜか世良だけは逆に続けさせる選択を無理強いする。それって、世良に医者として何か希望みたいなものを見いだしているからじゃないんですかね。

 ということで、圧倒的な面白さで日曜9時を飾った「ブラックペアン」、来週も楽しみです。最後は白衣があまりにも似合いすぎてるおてんちゃんこと、葵わかなちゃんでお別れです。

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白衣姿が可愛すぎる