現役テレビ局員の映画・ドラマ研究記

在京キー局で暗躍するテレビマンが送る、読んだら誰かにこそっと話したくなる映画・ドラマの徹底考察! ※本サイトの見解は全て筆者個人のものであり、特定の会社を利するものではありません。

「シグナル 第二話」感想・レビュー

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 春クールドラマの初回(まだ初回放送してないのもあるので暫定ですが)の中でトップにハマった「シグナル」の第二話。2010年という不思議な年代設定の元、時効を間近に控えた中で容疑者ハセキョーを追い詰め、自白に持ち込めるのか!!という最高のところで初回が終わり、ワクワクの第二週を迎えました。

 

感想:ハセキョー全然活躍しなかった、、、、(からの)うおおおおおお!!

 

 感想雑かよ!いや、そんな感じじゃないですか?

あれだけ引っ張っておいたハセキョーが、時効を迎えるまでの演技は本当に最高でした。冷酷で、警察をあざ笑うあの態度。けなされたい!ハセキョーにけなされたい!!ってなったところで怒る三枝(坂口健太郎)。その気迫にびくってなるハセキョー。さらに証拠偽造までして「これって違法捜査じゃね?」と思わせ、なんならクールビューティーの方に感情移入までさせるような演出。おお、これはこの事件がドラマ全体を貫くフックになるのだな!!

 と思いきや、、、、別件の時効が成立前ということであっさり逮捕。お前アホかああああああああ!!と、若干がっかりしていた中で突然の「8年後」のタイトル。年代が現代に追いついたのです。ん?とまたドラマに入り込んで見ていきました。

 

あらすじ

 ハセキョーをギリギリで逮捕することに成功した三枝たち。それと同時に、凶悪犯罪の時効を撤廃する法案が可決。未解決事件捜査本部が設置されることになった。三枝は再び大山(北山一輝)からの無線を受け取るが、「次私がコールしたら、それは3年前の私です」と謎の言葉を残して通信が切れてしまう。それから8年。桜井(吉瀬美智子)、山田(木村祐一)、鑑識の小島(池田鉄洋)ら寄せ集めの集団すぎず、さっぱり成果を挙げられていなかった未解決事件班の元に、アメリカ帰りの三枝が警部補として合流する。彼らは21年前の女性連続殺人事件の犯人を再調査することになるのだが、8年ぶりに無線機が通信を再開するのだった。

 

大山のトムクルーズみが深い

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 まず、この一言につきます。95年当時を生きる大山巡査長ですが、MA-1を常に着て、短髪にさっぱりとまとめて軽やかな動きを披露します。トップガンが公開されたのは1986年ですからこの時代の大山がマネした、という裏設定はないにしても、衣装のイメージはトムクルーズを意識してるような気がします。

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かの有名な「トム走り」

 本編とはまったく関係ないですが、トムクルーズといえば、この「トム走り」。足を高くあげて腕を顔の高さまでしっかり振り、体全体で走る。まさしく全力疾走。トムクルーズ意識のキャラクターなら、ぜひトム走りを取り入れてほしいです(勝手な妄想です)。

時代がコロコロ入れ替わる、刑事版「君の名は。」だ!

 「シグナル」を見てて、うおおお!となったもう一つの部分(一つ目は当然、トムみの深い大山です)は、通信をする両者の時間軸がずれることです。第一話で大山が呼ぶ三枝の階級が警部補となっていた理由がこの回で明らかになりましたね。第一話の時点で大山は、警部補となった三枝と交信していたわけです。しかし第二話では、「次交信するときは3年前の自分だ」と言い残し、実際に三枝との通信は女性連続殺人で初めてとなるわけです。この時間軸のズレが、大山に何が起こったのか?という謎を作り出し、過去を変えられるという面白さをも生み出していますね。時間的な隔たりがある両者がやりとりする中で過去を変えて未来に影響を及ぼす、というモチーフで大当たりした作品として「君の名は。」がありましたが、これはそれよりも少しひねって、時間軸を通信ごとに切り替えることで両方にミステリー性を持たせています。

 

革新的な「毎回クリフハンガー」制度

 また、このドラマでは革新的とも言える試みをやっています。それが、毎回事件の発端部分でドラマを終わらせる、名付けて「毎回クリフハンガー」制度です。第一話の時点で、解決部分を第二話に持ち越す、つまり、一話分の余白を次の回の序盤に持っていくことで、その分次の回も余白が生じて次回に持ち越しとなる、、、という、テレビドラマの時間枠を逆手にとった新しい続き方をしています。どこかで整合性をとってこの手法をやめてしまうことも考えられますが、同じ一話完結でも、一つの回で全てが解決するのと、次回の発端だけ示して来週も見させようとするのでは、一週間のワクワク度が変わってきますよね。そういう意味でこのやり方は今のところ効果的に使われているのではないでしょうか。

 というわけで、トムクルーズみの深い大山が一体どうなってしまうのか、トム走りは見られるのか、そんなところに注目しながら来週も見たいと思います。